OLYMPUS PEN Sレビュー|フィルム高すぎ?いや私たちにはハーフカメラがある!

キタムラのワゴンセールでコダックGOLD 100を100円で買ったのはいつの事だったろう?

100円はもちろん当時でも安かったけど、200〜300円で36枚撮りのカラーネガが普通に買えたし、100均でもフィルムが売っていたので、銘柄を気にしなければいつでもフィルムを100円で購入出来た。

翻って最近のフィルム価格の高騰、特にカラーネガの価格の上がり方はヤバい。銘柄によっては36枚撮りで2000円超えてるし。

もちろん撮影後の現像などは別料金なので、下手すると写真1枚撮影するコストがガリガリくん1本よりも高いなんて事も。

これではせっかく少しずつ増えてきた感じのするフィルムカメラ愛好家、特に若い写真ファンがコスト高でフィルムカメラから離れてしまうよ。

その苦境を救う救世主がハーフカメラなのである。

ハーフカメラは簡単に言うと普通のフィルムで2倍の枚数が撮影出来るカメラで、シャッター1回のコストがガリガリ君からハートチップル位に抑えられるのである。これは大きいぞ。

そこで今回はそのハーフサイズカメラの代表選手である、OLYMPUS PENシリーズからPEN Sを紹介したいと思う。

PENシリーズについては「ハーフサイズのおすすめカメラ『OLYMPUS PEN』徹底解説」で詳しく解説しているので参考にしてみて欲しい。

2022年8月19日追記

動画版も作ったのでよろしければご覧下さい。

写真は全てタップやクリックで拡大します。

OLYMPUS PEN Sとはどんなカメラ?

1959年に発売され全てのPENの元になった初代PENには2.8cmF3.5のレンズが装着されていましたが、もう少し明るいレンズが欲しいという要望に応えて3.0cmF2.8レンズを装着し、低速シャッターを1/25秒から1/8秒にしたのがPEN Sになります。

初代PENおよびPEN Sの特徴は、露出計は内蔵せず、ピント合わせは目測のいわゆるゾーンフォーカスタイプで、絞りおよびシャッタースピードは撮影者が任意で設定するマニュアル撮影になってる所です。

後に発売されその後のPENシリーズの主流となったPEN EEシリーズはセレン光電池を搭載して自動露出を実現し、レンズも近接1.5m~∞無限遠までピントが合う固定焦点になったので、何も考えずにシャッターを押すだけで誰でも簡単に写真が撮れるカメラになりましたが、このPEN Sは前述のようにマニュアルでの露出設定とピント合わせが必要な、ある意味玄人好みのPENと言えるでしょう。

PEN Sの外観

PEN Sの撮影方法 その1

フィルムの装填方法については割愛します。現在私のPEN Sにはフィルムが入っていて裏蓋が開けられないので(汗)

代わりといってはなんですが、以前一眼レフカメラのフィルム装填方法を記事にしたので「一眼レフカメラのフィルムの入れ方|画像付きだから初心者も安心!」を参考にしてみて下さい。カメラのタイプは違いますが基本的なフィルム装填方法は同じなので参考になると思います。

そうそう、フィルムカウンターは自動でリセットされないのでフィルムを入れたら自分で設定する必要があります。カウンターは減算式なので36枚撮りフィルムを入れた場合は倍の72に指の腹でぐりぐり回しながら合わせればOKです。

さて、このカメラの操作の肝は三段に重なったレンズ周りのリングの操作にあります。

一番外側の銀のリングがシャッタースピード、真ん中の黒いリングがフォーカス、一番内側の銀のリングが絞りの設定になります。

前述の様にこのカメラに露出計は付いてないので外部露出計やスマホの露出計アプリを使う事になりますが、露出計を持っていないと撮影出来ないかと言えばそんな事はありません。

あるルールを覚え、それにそのルール通りに露出を決めれば大外しする事はありません。特にネガフィルムは露出に寛容ですから露出を大外ししなければそれなりに写ってしまいますので安心して下さい。

そのルールを「サニー16ルール」と言います。

サニー16ルールとは?

「晴れの日に陽の当たる屋外で写真を撮るとき、シャッタースピードをISO感度分の1、絞りをF16にすると適正露光が得られる」というルールです。

具体的にはISO100のフィルムを装填したら、1/100秒、F16ですね。
ただしこのカメラの様に1/100秒のシャッターが切れないカメラの場合は近い数値の1/125秒に設定すれば大丈夫です。

その他の条件もだいたいの目安があり、ISO感度分の1秒で下表のようになります。

絞り設定状況
F22快晴での砂地、雪原
F16晴れ
F11雲の多い晴れ、明るい曇
F8
F5.6暗い曇
F4日陰、日没

上の表を目安に自分なりに露出勘を養ってみて下さい。
俺の場合はフィルムサイズが小さくなるハーフカメラで絞り値F16はちょっと絞りすぎに感じるので、ISO100,F8,1/250秒を目安に露出を決定しています。

そうは言っても最初から勘で撮るのは難しいと感じる方は、このような露出計を使うのも良いでしょう。


俺が買った頃は大人気で品薄でしたが、今は普通にAmazonなどでも買える様になりました。

PEN Sの撮影方法 その2

さて、あなたは今撮影フィールドに立っています。
時刻は正午、天気は晴れ、PEN SにはISO100のフィルムを詰めました。

被写体を見つけたあなたは撮影準備のため、まずは親指で後側のダイヤルをジーコジーコと巻きます。

露出設定は晴れた日中なのでF16,1/125かF8,1/250秒なので、まずは外側のリングでシャッタースピードをどちらかに合わせましょう。

次に絞り値ですが、カメラを持ってみれば分かりますがカメラを構えた状態では露出値の数値を見る事ができません。もちろん、レンズ部分を覗き込んでもいいのですが、ちょっと面倒なので俺の使っている方法を紹介します。

絞りリングにはクリックストップがあるのでその回数で絞り値を知ればいいのです。

具体的にはまずリングを一番左まで回して絞り開放のF2.8に合わせ、そこからクリックストップを数えながらリングを回して行きます。1回でF4,2回でF5.6,3回でF8,4回でF16です。

もちろん現在のF値がF8なら右に回してF16、左に回してF8でも良いのですが、この方法だと絞り値を勘違いして設定をミスする可能性があるので、俺の場合は少し面倒でも一度開放F値に戻してから設定しています。

そして、最後に一番の難関ピント合わせです。

このカメラのファインダーは構図を見るためのもので、ピントを合わせる機能はありません。
もちろんその他にもピント合わせの為の機能はないので、ただただ自分の感覚を頼りにピントリングの距離設定を合わせるしかありません。

そうは言っても最初はよく分からないですよね。

そこで距離を測るための目安としておすすめの方法があります。

まず片手を指先を伸ばした状態で前に伸ばします。そして、自分の顔の表面の位置から指先までの距離を測るのです。ちなみに俺の場合は約55センチでした。

この距離を覚えておけば、近くの被写体を撮る場合に指先までの距離の倍くらいだから1メートルだな、とか基準が生まれるので距離を測りやすくなります。

また、このカメラの最短撮影距離は0.6メートルなので腕の距離より短いと最短に合わせてもピントが合わないなどの判断もできますのでこの方法は重宝しますよ。

距離が離れた被写体ではこの方法は使えませんが、その場合は目測に頼るしかありません。ただし、F8やF16に絞った場合は被写界深度が深くなりパンフォーカスに近くなるのでそこまでシビアに合わせなくてもピントを大外しする事は少ないと思います。

またもう一つ距離の基準を覚えておくと良いかも知れません。それはクルマの長さで、乗用車の場合は小型車で全長約4メートル、車幅約1.7メートル大型車で4.5〜5メートル、車幅1.9メートル位なので近くに車があれば目安になるかも知れません。

後はとにかく距離感を磨く事です。

まとめ

最初は作例も載せようと思ったのですが長くなってしまったので別記事に分けようと思います。

このOLYMPUS PEN Sを一言で表すと、「本格的なマニュアル操作が楽しめる経済的なハーフサイズカメラ」かな。

とにかくこのカメラはサイズはコンパクトだけど総金属ボディで外観にも操作感にも安っぽいところは微塵もなく、使っていて楽しいカメラです。

本格的なカメラを持って行くのは大変な時でも、このカメラならカバンの片隅に忍ばせて置けるのが良いですね。

それではまた。作例編でお会いしましょう。

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