フィルム一眼レフの劣化したモルトを自分で交換してみよう!

あなた

安価にフィルム一眼レフを手に入れたけど、裏蓋を開けてみたら何だか黒い粉見たいのがいっぱいこぼれてる。

あなた

ネットで調べてみたらモルトって言うのが古くなってボロボロになってるみたいだけど、これって自分で直せるのかなあ?

ちゅかめ

大丈夫!

ちゅかめ

道具と材料さえあればモルトの交換は自分でできるよ。

そもそもモルトとは何?

モルトとは、カメラの裏蓋の上下の溝や、一眼レフのミラーが当たる部分などに貼られている黒いスポンジのようなもので、正式名称は「モルトプレーン」と言います。

このモルトは主に裏蓋とボディーとを組み合わせた部分からの光漏れを防ぐ役割を担っています。

ご存知のようにフィルムは光が当たると感光してしまうのでカメラのフィルム室に少しでも光が入りフィルムに当たってしまうとその部分が感光してしまい、現像するとフィルムに光漏れの跡が残ってしまいます。

その現象を防ぐ為に貼られているモルトですが、中古カメラショップでしっかり整備されたカメラは別ですが、ジャンク商品やメルカリなどの個人売買で購入した場合、このモルトは殆どの場合経年劣化(加水分解)でボロボロになっていて、そのままでは光漏れで使えないだけでなくモルトのカスがボロボロとフィルム室などに撒き散らされてしまうので、必ず張り替える必要があります。

もちろん中古カメラショップでモルトの張り替えをしてもらう事はできますが、その場合は工賃が4000〜5000円ほど掛かってしまいます。

そこで今回は素人でも出来るフィルムカメラのメンテナンス、モルトの張り替え方について画像付きで詳しく丁寧にご紹介します。

必要な道具や部材についても解説しますので、この記事を読めば初心者でも出来るようになると思います。

今回はminolta SR-T Superのモルトを交換しましたが、1960〜70年代製造の金属製カメラなら殆ど同じような方法でモルト交換することが出来ます。

モルト交換に必要な部材と道具

モルト交換1

モルト交換に限らずカメラやレンズのメンテナンスにはある程度の道具は必要になるので、この機会に必要なものを揃えてしまいましょう。

カメラ用モルト

私はのり付きの2ミリ厚を使っています。

ブロワー

作業で発生した小さなゴミやホコリを吹き飛ばすのに必要です。レンズやカメラボディの日常的なメンテナンスには欠かせない物なので、持っていないならこの機会に揃えておきましょう。

クラフトナイフ

古いモルトを剥がすのに使います。カッターナイフでも出来るかも知れませんが、出来れば細かい作業がやり易いクラフトナイフを準備しましょう。

ロータリーカッター

モルトを切り出すのに必要です。私はクラフトナイフで作業していますが、切り出したモルトが丸まってしまう事が多いので、出来ればロータリーカッターを用意した方が楽に作業できると思います。私も近いうちに購入します(汗)

刷毛

私はレンズペンに付いている刷毛を使っていますが、これは百均で揃えても大丈夫だと思います。

ピンセット

私は家に有った普通のピンセットを使っていますが、新たに購入するなら先が細くて曲がっている物を準備した方が使いやすいと思います。

無水エタノール

モルト交換だけでなく、無水エタノールはレンズの清掃などカメラメンテナンスの色々な場面で使えるので持ってないなら一本買っておきましょう。

竹串

溝の中の古いモルトを剥がしたり、溝に貼ったモルトを押さえたりするのに使います。爪楊枝では先の強度が弱くすぐに折れてしまうので必ず竹串を使いましょう。もちろん百均でOK。

その他のあると便利な物

  • カッティングマット

私も最初は段ボールの上に新聞紙を敷いて作業していましたが、やはり専用のカッティングマットがあった方が圧倒的に作業しやすいです。

  • シルボン紙(ダスパー、キムワイプ)

埃が出ない特殊な紙。レンズのメンテナンスなど色々な場面で使えるので用意しておくと、とても便利です。

  • 綿棒

エタノールを付けて細かいゴミを清掃するのに使います。

モルト交換の作業工程

ここからは実際の交換作業を写真を使って分かりやすく解説します。写真はクリックで拡大するので見にくい場合は大きくして見て下さい。

ミラーボックスのモルトを交換する

ミラーボックスの上側の跳ね上がったミラーが当たる部分に緩衝材としてのモルトが貼ってあるので、これを貼り替えます。

モルト交換2

写真の様にカメラを逆さまにしてクラフトナイフとピンセットを使って剥ぎ取ります。なるべくミラーボックスに剥がしたゴミが落ちないように作業しましょう。

モルト交換3

古いモルトが取れたら綿棒で清掃します。

モルト交換4

切り出したモルトを貼り付けます。

モルト交換5

フィルム室の蝶番部分のモルトを交換する

カメラの裏蓋を開けてフィルム室を開いたら、蝶番の部分のモルトを剥がして交換します。

モルト交換6

フィルム室の細い溝のモルトをはがす

モルト交換7

フィルム室の上下の細い溝のモルトを交換するため、まずは竹串を使い古いモルトをきれいに剥がします。この作業を適当に済ませてしまうと新しいモルトが綺麗に付かないので頑張って剥がしましょう。

また黄色丸で示した部分は、フィルムカウンターの動作に必要な部分なのでモルトを張らないでください。(他のカメラでもここにある事が多い)

モルト交換8
モルト交換9

竹串にダスパーを巻いてエタノールで掃除したら完璧です。

モルト交換10

最後に一応ブロワーを吹いておきます。

モルト交換11

フィルム室の細い溝に新しいモルトを貼る

モルト交換12

最後にロータリーカッター等で切り出した細いモルトを溝に貼って行くのですが、この作業の最大のコツは切り出したモルトを水でびちょびちょに濡らす事!

モルト交換13

私は既に10数台のフィルムカメラのモルトを交換していますが、最初の頃は切り出したモルトを頑張って貼ろうとしても溝の壁面にモルトの糊が張り付いて上手く貼れませんでした。

そこでネットで調べたところ糊が付いた面を水で軽く濡らすと壁面に張り付かずに上手く貼れるとどこかに書いてあったので、まずは綿棒に水を含ませて軽く濡らしてみたけどうまく行かない。

そこで段々と水の量を増やし、最後には写真のように水に漬け込んでから貼ったら上手く行きました。

モルト交換14

器用な方ならここまで濡らさなくても綺麗に貼れるのかも知れませんが、上手く貼れなかった時には参考にしてみて下さい。

上手く貼れたら作業終了です。

モルト交換15

私のようにモルトを水でびちょびちょに濡らした方は、水を乾かすため蓋をしばらく開けておきましょう。

それではまた。

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