フィルムカメラの種類が多すぎて初心者には選べない問題、の回答です!

インスタに上がっているエモい写真に憧れて、これからフィルムカメラを始めるぞ〜!と盛り上がったあなたは早速ネットで情報を集め始めたけど、色々なカメラがあって一体どれを選んでいいのか分からず、今途方に暮れています。

分かりました!

いつの間にか14台のフィルムカメラを持つ事になった私が分かりやすく教えちゃいます。

しかし、一口にフィルムカメラと言っても色々な種類があって細かく分けると際限がないので、ここでは大まかにフィルムの種類とカメラの機構別に分類しました。

フィルムの種類による分類

一般的に使われるフィルムには大きく分けると「35mmフィルム」「中判フィルム(120フィルム)」「大判フィルム」があります。

この中で一般的なアマチュアカメラマンが使うのは35mmフィルム」と「中判フィルム(120フィルム)」になるので、この二種類の特徴について書いてみます。

35mmフィルム

35mmフィルム

このフィルムは昔から一番多く使われていて、金属のケース(パトローネ)に入ったロール状のフィルムです。

「写ルンです」でもこのフィルムが使われているので、もしかするとあなたも使った事があるかもしれませんね。

中判フィルム(120フィルム)

120フィルム

中判フィルムも過去には色々な種類があったのですが、現在使われているのはほとんど120フィルムなので、中判フィルム=120フィルムと考えれば大丈夫です。

たまにブローニーフィルムという記述も見かけるかも知れませんが、これも120フィルムと同じものと考えて大丈夫です。

この120フィルムは軸(スプール)に巻かれたロールフィルムで、その縦幅は約6センチ(正確には56ミリ)なのですが、カメラによって使う横幅(長さ)が違い、その種類により6×4.5、6×6、6×7、6×9など色々なフォーマットサイズ(撮れる写真の大きさ)のカメラが存在します。

また、フォーマットが違っても120フィルムという同じ巻きの長さのフィルムを使いますから、6×9などフィルムを長く使うカメラは当然撮影枚数が少なくなります。

最近可愛いと評判の「ましかく写真」はこの中の6×6版になり、56ミリ四方の正方形の写真が撮れます。

ちなみに56ミリはフィルムの実サイズなので、写真にする時はもっと大きく引き伸ばします。

カメラの機構による分類

これも細かく分けていくとキリが無いほど色々な種類のカメラがあるので、ここではざっくりと4つに分類してみました。

一眼レフカメラ

一眼レフカメラ(ペンタックスSP)

一眼レフカメラの一眼とはレンズが一つという意味で、レフとはレフレックスの略で、まとめると、ボディに付いた一つのレンズから入ってきた光を反射(レフレックス)させるための鏡がボディ内にあるカメラの事です。

この鏡はクイックリターンミラーと呼ばれ、レンズから入ってきた光を真上に反射させてファインダーに導くために使われ、撮影の瞬間は一瞬で跳ね上がり光をミラーの裏にあったシャッター幕を介してフィルムに当てて露光します。

現在のデジタル一眼レフカメラは、このカメラのフィルムの部分をイメージセンサーに置き換えたカメラで、その構造はフィルム時代とほとんど同じです。

二眼レフカメラ

二眼レフカメラ

二眼レフカメラとは、撮影用とファインダー用のレンズが縦に二つ並んだカメラの事です。

通常下側にある撮影用レンズから入った光は常にシャッターに当たっていて、撮影の瞬間シャッターが開くとその後ろにあるフィルムに光が当たって露光します。

上側のファインダー用レンズから入った光はミラーで真上に反射されてファインダースクリーンに当たり、それを上から覗いて構図を決めます。

レンジファインダーカメラ

レンジファインダーカメラ

一眼レフカメラは撮影レンズから入ってきた光をファインダーに導いていますが、レンジファインダーカメラではファインダーから少し離れた場所に付いている小さな採光窓から取り込んだ光を鏡やプリズムで反射させ、ファインダーからの光と合わせて被写体を見ます。

この時にファインダー光学系から見える実像と採光窓から取り込んだ虚像が二重写になっていて、その二重像を合わせることでピント合わせを行います。

この機構をレンジファインダー(距離計)と呼びます。

有名なM型ライカがこの方式のカメラの代表で、1960年ごろまではライカに追いつけ追い越せと国内メーカーもレンジファインダーカメラをたくさん製造していましたが、一眼レフが普及して以降は徐々に生産が少なくなりました。

コンパクトカメラ

レンズ固定式の小型カメラをここではコンパクトカメラと呼びます。

35mmフィルムを半分にして撮影枚数を2倍にしたハーフサイズカメラやジャスピンコニカ、キヤノンオートボーイに代表されるAFコンパクトもここに含まれます。

写真はハーフサイズカメラの代表格「OLYMPUS PEN」です。

MFカメラとAFカメラによる分類

AFとはオートフォーカスの略で自動でピントを合わせてくれる機構のことで、MFとはマニュアルフォーカスの略でファインダーの像を見ながらレンズのピントリングを回して自分でピントを合わせる機構のことです。

中古カメラを買う時には、まずAFカメラにするかMFカメラにするかをある程度決めておかなければならないので、ここではその手助けになるよう、両カメラの大まかな特徴について簡単に書いてみます。

昔のカメラは全てマニュアルフォーカスだった

タイトルのように昔のカメラは全てMFでしたが、1977年に日本のコニカ(現コニカミノルタ)が開発した世界初のAFカメラ、C35AF(ジャスピンコニカ)を皮切りにコンパクトカメラのAF化が急速に加速しました。

そして1985年に登場した本格的なAF一眼レフカメラ、ミノルタ(現コニカミノルタ)α7000の登場を契機に一眼レフカメラもどんどんAF化されて行きます。

現在ではライカやローライなど特別なカメラを除くとほとんどのカメラがAF化されているので選択の余地はありませんが中古カメラを選ぶ場合はどちらを選ぶべきなのでしょうか?

MFカメラの特徴

MFカメラにも前述のレンジファインダーカメラやコンパクトカメラなど色々な種類がありますが、ここでは一番一般的で今でも使っている人の多い一眼レフカメラに絞って解説します。

MF一眼レフ

MF一眼レフカメラはカメラがまだ超高級品だった時代に作られた製品が多く、外装には金属が使われ品質感がとても高い製品が多いです。

最近ニコンから「Z fc」というミラーレスカメラが発売されましたが、このカメラのデザインの元になったNikon FM2というカメラがまさにMF一眼レフの代表機種で、多くの人が思い描くフィルムカメラの姿とも重なるデザインでしょう。

レトロ感満載でおしゃれなフィルムカメラが欲しいなら、MFカメラから選ぶのが良いと思います。

ピント合わせも使って行くうちに慣れるのでそこまで心配しなくても大丈夫ですよ。

AFカメラの特徴

AFカメラの殆どは一眼レフカメラとコンパクトカメラで、他のタイプのカメラは少ないと思いますので、その二つのタイプに絞って解説します。

AF一眼レフカメラ

まずはAF一眼レフカメラについてですが、これはカメラがどんどん大衆化して行く頃に生産されたので、量産するため一部の高級機を除くと外装はプラスチックになり、今の感覚だと安っぽい見た目になりました。

しかし、プラスチック外装ゆえ金属外装のMF一眼レフカメラと比べると大幅に軽量化されているので楽に持ち運ぶ事ができます。

また一部の機種を除くと人気が非常に低いので、例えば私がハードオフで購入したこのMINOLTA α303si&AF ZOOM 35-105mm f3.5-4.5レンズの組み合わせは千円でお釣りがくる価格で購入できました。

AF一眼レフ

これまでの解説を聞くと安かろう悪かろうのカメラだと思うかも知れませんが、この80年代後半から90年代にかけての時代にはコンピュータによる解析ができるようになった事もありレンズの設計技術がどんどん進み、それによって写りも大変良くなりました。

フィルムカメラの入門として、難しい事を知らなくても簡単に写せる格安AF一眼レフカメラで、気楽にフィルムの写りを楽しむのも悪くないと思います。

AFコンパクトカメラ

このジャンルのカメラにも高級コンパクトと呼ばれるコンタックスTシリーズやリコーGR、富士フイルムのKLASSEなど高価格で取引されているカメラもありますが、ここで扱うのはもっと安い大衆機のカメラです。

代表的なカメラはなんといってもキヤノンのオートボーイシリーズでしょう。一眼レフカメラのEOS kissシリーズもそうですが、キヤノンはこういったネーミングが本当に上手いですよね。

auto boy

もちろんニコンやオリンパスなど各メーカーからも、たくさんのAFコンパクトカメラがリリースされているので、ネットや中古カメラショップで探してみて下さい。

価格も一万円以下で探せて操作も簡単な機種が多いので、写ルンですからのステップアップに最適です。

また近所にハードオフがあるならカメラコーナーのジャンクボックスを探してみて下さい。上手くいけば数百円で転がっていますよ。

またこの手のカメラは単3電池数本で動くカメラが多いので、電池を持って行くと動作確認ができて便利です。

機械式カメラと電子式カメラ

カメラで写真を撮るためにはシャッタースピードを制御する事が不可欠ですが、60年代までのカメラはこれをバネやゼンマイなどの機械で行っていました。

そして70年代に入るとこのシャッタースピードの制御を電子部品で行う電子シャッターのカメラが登場します。

もちろん先進的なのは電子シャッターのカメラなのですが、現在では機械式シャッターのカメラの方が断然人気があります。

何故でしょうか?

機械式シャッターを搭載したカメラの電池は内臓露出計を動かすためにしか使われないので電池が切れても撮影する事ができますが、電子シャッターのカメラは電池がないとシャッターが切れずに撮影できませんし、内部の電子部品が壊れると現在では部品が手に入らないので修理不能になってしまいます。

一方の機械式シャッターのカメラは今でも修理できる機種が沢山あります。

しかし完動品の電子シャッターカメラならシャッタースピードは機械式より正確で、ほとんどの機種には機械式シャッターでは実現できない絞り優先AEなどの自動露出機能が搭載されているので現代のカメラに近い感覚で撮影する事が出来ます。

確かにバネとゼンマイで動く機械式カメラにはロマンを感じますが、無駄に高い機種が多いので、それなら安価に電子式シャッターのカメラを買って浮いたお金をレンズやフィルム代につぎ込むのも良い選択だと思います。

まとめ

ここまで読めば各カメラの大体の特徴は分かったと思いますが、欲しいカメラは見つかりましたか?

もしもまだ決めかねているなら私のお勧めを

一番のおすすめはMF(マニュアルフォーカス)一眼レフです。機械式でも電子式でも構いませんが、せっかく一眼レフを選ぶならシャッタースピードダイヤルが付いたマニュアル露出対応カメラを選ぶ事をお勧めします。

何故ならマニュアル露出で撮影出来るようになると露出の三要素、レンズの絞り、シャッタースピード、ISO感度について理解出来るようになるので、今後どんなカメラでも扱えるようになるからです。もちろん、現代のミラーレスカメラなどでも露出が理解できれば撮影の幅が格段に広がります。

次のお勧めなのが、グンとカジュアルなAFコンパクトカメラです。

マニュアル一眼レフカメラに二の足を踏んでるって事は、多分まだカメラを趣味にするぞって程の気持ちがないって事だよね?

それなら無理に難しいカメラを買わなくても良いから、まずは押せば写るAFコンパクトでフィルムの写りを楽しんでみよう!

そしてもっと良い写真を撮ってみたくなったら、次のカメラにステップアップすればいい。

それにAFコンパクトは小さく軽くどこにでも持って行けるから、撮影機会もグンと広がりますよ。

また、最初のカメラは信頼のおける中古カメラ店での購入をお勧めします。やはり実物を手にしてファインダーを覗いてシャッターを切るのがカメラの個性を知る一番の早道です。もちろん詳しい店員さんにもアドバイスがもらえますよ。

そうそう、一眼レフの場合はレンズも別に選ばなくてはなりませんから、ボディと両方が揃っている実店舗で探すのがやはり一番です。

地方在住などで実店舗に足を運べない場合も、最初はやはり安さにつられてメルカリやヤフオクなどの個人売買を利用するのは避け、カメラのキタムラネットショップなどの大手カメラ店のネット販売を利用した方が故障などのリスクが少なく、もしもの場合も保証が受けられる事が多いので安心です。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP