フィルム写真の魅力は、デジタル写真では出せない味や深みがあることです。その一方フィルム写真はフィルムや現像代はもちろん店舗でのデータ化やプリントなど色々な場面でコストが掛かってしまいます。
そんなコストを少しでも抑えるため私は、白黒フィルムの自家現像やミラーレスカメラを使ったデジタルデュープを行ってコスト削減に努めています。(もちろん楽しみも大きいですが)
しかしご存知のようにネガフィルムをデジタルデュープやフィルムスキャナーを使ってデジタル化した画像は、明るさや色が反転しているためそのままでは鑑賞する事ができません。
そこで今回は、フリーソフトのRawTherapeeを使って、手軽にフィルム写真を現像する方法をご紹介します。
以前からご紹介しているRawTherapeeは、高機能かつ使いやすい現像ソフトであり、多様なフィルムシミュレーションや調整機能を備えています。フィルム写真の魅力を最大限に引き出すために、RawTherapeeを上手に活用してみましょう。
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白黒ネガ画像の現像
まずは白黒ネガフィルムからやって行きましょう。
画像を開く
開いた画像は明暗が反転しているいわゆるネガ画像になっているので、まずはこれを反転してポジ画像にしてみましょう。
ネガ画像をポジ画像に反転する
画像を開いた時ツールは露光タブになっているので、これを写真を参照してrawタブに切り替えて下さい。
切り替わったrawタブの中段あたりにネガフィルムと言うツールがあるのでその文字の右側の○印をクリックして機能をONにして下さい。これでだけで画像をネガポジ反転する事ができます。
しかしまだ色が何だかおかしいですね。何故でしょう?
この画像では緑丸の辺りをポイントしているのですが、ナビゲーターの数値を見るとご覧のように180前後のG(緑)とB(青)に比べてR(赤)は246と数値が大きくなっています。これが画像が茶色っぽくなっている理由なのです。
それでは次にこの色の偏りを直していきましょう。
白黒ツールで色の偏りを直す
カラータブに切り替えたら白黒ツールのボタンをONにしてみましょう。それだけで色の偏りが直ってニュートラルな白黒画像ができました。
ナビゲーターの数値でもRGB値が全て揃っているのが確認できます。
角度補正ツールで画像をまっすぐに整える
曲がりなく画像が取り込まれているなら大丈夫ですが、私の画像のように曲がっている場合はまずこれを整えます。
方法は簡単で変形タブに切り替え、直線選択・角度補正ツールをクリックしてから画像の真っ直ぐな部分、今回は画像の下側をドラッグしてラインを引き、クリックを離すだけです。失敗したら同じ作業をまっすぐになるまで繰り返しましょう。
画像をトリミングする
変形タブ一番上の切り抜きをONにしたら、セレクトボタンをクリックして画像を斜めにドラッグして選択範囲を切り抜きます。
デフォルトでは縦横比が画像通りになっていますが、プルダウンメニューから1:1など好みの比率に切り替える事もできます。
露光タブのトーンカーブ1を開く
ここからがいよいよ本番です。
タブを一番左の露光に切り替えたらトーンカーブを使って補正していくのですが、この時にトーンカーブ1が上の画像のようにポイントが打たれてラインが作られている場合は(デフォルトの設定ではこのようになっているはず)画像のようにプルダウンメニューからリニアを選んで下さい。それでまっすぐなラインに戻ります。
それでは改めてトーンカーブ1のカスタムを選択しましょう。
トーンカーブでコントラストを整える
ネガの状態やデジタルデュープ時の露出設定によって異なりますが、デュープでデジタル化した画像はヒストグラムの山が中央付近に集まり、シャドー部かハイライト部、または両方にピクセルがない画像が多いです。
そのためコントラストの低い眠たい画像になっているのでこれをまず直します。
今回の画像の場合はご覧のようにシャドー部に全くピクセルが無い、イコール完全な黒が無い状態になっています。
そこでトーンカーブ1の左下のポイント(黒点)をヒストグラムを見ながら山裾まで動かします。
トーンカーブでコントラストを整える2
これだけでご覧のようにシャドーの締まったコントラストの高い画像になります。
トーンカーブでコントラストを整える3
シャドーを締めるだけでかなり見栄えの良い画像になりますが、黄色い丸で示した辺りの壁が暗く感じるのでもう少し明るくしたいと思います。
トーンカーブ1の左側に二つのボタンがありますね。これの上側をクリックしてONにしてみて下さい。
そして先ほどの壁あたりにカーソルを持って行くとトーンカーブの中にRGBとグレーのラインが現れたと思います。これはポイントした部分のピクセルはトーンカーブではどの辺りに相当するかを示しています。
そしてその状態でコントロールキー(Win、Mac共に)を押しながら壁をクリックするとトーンカーブのその部分にポイントが打たれます。
トーンカーブでコントラストを整える4
先ほど打たれたポイントを真上に引き上げると、指定した輝度を中心に画像が明るくなります。
この作業でほとんどの白黒ネガ画像は整うと思いますが、もう少し微調整したい場合は画像のようにトーンカーブ2を使って下さい。トーンカーブ1で作った基本的な調整を維持したまま微調整出来て便利です。
カラーネガ画像の現像
基本的には白黒ネガ画像と同じ工程で現像出来るので、違う部分を中心に解説します。
ニュートラルなポイントをピック
画像をネガ化したところから解説すると、ネガフィルムツールの下側にあるニュートラルなポイントをピックボタンをクリックして機能をONにしたら、画像の中から色がニュートラルで明るい部分、ニュートラルで暗い部分を見つけて、明るい、暗いの順にクリックします。
この画像の場合は白い牛乳ボックスとガレージ奥の暗い部分をクリックしました。
これで色被りは取れましたがまだ画像全体が黄色っぽい。これはホワイトバランスが狂っているからなので、次はそれを整えます。
ホワイトバランスを整える
カラータブを開いたらホワイトバランツールのピックボタンをクリック。
そのままフィルムのフィルムの未露光部分をクリックするとホワイトバランスが整います。
トーンカーブでコントラストを整える
白黒フィルム編を参考にトーンカーブでコントラストを付ければ完成です。
まとめ
LightroomやCamera Rawでもネガポジ反転する事は出来ますが、その場合はトーンカーブのラインを反転させる必要があります。(右上がりのラインを左上がりにする)
それだけなら良いのですが、色々なツールの効果も反転してしまうので、例えば露光量を明るい方向に動かすと画像が暗くなったりしてとても頭が混乱するのです。
それで以前はCamera Rawでトリミング等の基本補正を済ませたら、少しでも画像の劣化を抑えようと16bitのtiffで出力してからその画像をPhotoshopで開き、諧調の反転ツールでネガポジ反転させてからレベル補正でトーンを調整していました。
Photoshopの良いところは、それらの工程をアクション機能を使って自動化出来るところなのですが、如何せんtifやjpgに出力しないと調整できないのが大変で何か良い方法は無いかと模索していたところこのRawTherapeeのネガフィルムツールを見つけたという訳です。
フィルム愛好家にはこの機能だけで買いだと思いますよ。
フリーソフトだから買わなくて良いけど^ ^
それではまた。
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