RawTherapeeのヒストグラムを使ってRAW画像を調整しよう!

前回の記事でRawTherapeeのインストールと画像の選び方などを解説したので、今回から実際の現像について書いていこうと思いましたが、その前にヒストグラムについて理解を深めてもらった方が後々の解説も理解しやすいと思い、そのヒストグラムの解説を挟む事にしました。

ヒストグラムはRAW現像やフォトレタッチのアプリには必ずある機能のなのであなたも一度は見た事はあると思うけど、実際の作業にどの程度活かしているかは人によって様々でしょう。

私の場合は以前からかなり参考にしていましたが、RawTherapeeのヒストグラムは凄く高機能で見やすいから更にガッツリ使うようになりました。

前置きはこの位にして早速トーンカーブの見方を解説して行きます。

動画版はこちら

そもそもヒストグラムって何?

いきなりですが、ウィキペディアから引用してみます。

ヒストグラム(英語: histogram)とは、縦軸に度、横軸に階級をとった統計グラフの一種で、データの分布状況を視覚的に認識するために主に統計学や数学、画像処理等で用いられる。柱状図柱状グラフ度数分布図ともいう。

この解説にRAW現像アプリなど、画像処理に使われるヒストグラムを当てはめてみると、縦軸の度にピクセル(画素)数、横軸の階級に明るさ(一般的な8ビット画像では0〜255の256段階)が入ります。もちろん左端が一番暗い0で右端が一番明るい255になります。高さはピクセル数なので画像によって変わってきますが、山の高さは自動的に調整されるので例えば6000万画素の画像を表示したからと言って、山がはるか上まで突き抜ける事はありません(笑)

PhotoshopとRawTherapeeのヒストグラムを比べてみた

ここからは具体例で解説するので、まずは下の画像を見て下さい。これはある画像をPhotoshopのプラグイン、CameraRawで開き、その時のヒストグラムを拡大したものです。

Photoshopのヒストグラムは拡大出来ないので、画像処理で大きくしています。

このヒストグラムを見ると赤(R)、緑(G)、青(B)の各領域とグレーの領域があるのが分かりますね?これはもちろんRGB各色がどの明るさにどれだけのピクセル数があるかを表し、グレー領域は色ではなく明るさ(輝度)の分布を表しています。

上部に表示されているRGBの数値はマウスポインターを置いている位置のピクセルの明るさを表しています。

この画像の数値は193〜194に集まっている事からほぼ無彩色であることが分かり、255に近い事から白に近いグレーであることが分かります。(0が真っ黒で255が真っ白)

それをふまえて下の画像を見て下さい。これはもちろん同じ画像を開いた時のRawTherapeeのヒストグラムです。

まず素晴らしいのが此の様に大きく拡大できる事です。この機能はギリギリまで画像を追い込む時にとても役に立つと思います。

またよく見ると左側にたくさんのボタンがありますね?これは表示方法を切り替えるためのボタンで、例えばRだけを表示させて赤い部分の色やバランスを整えたり、GとBだけを見たり、あるいは輝度だけにして明るさを整えるなど色々な使い方が出来ます。

これだけでも素晴らしいのですが更に凄い機能があるんです。

ヒストグラムの下側をよく見てみて下さい。赤や緑の短い線が見えますね?これはマウスポインターを置いた位置のRGB値がヒストグラムのどこになるのかを表しています。フォトショップの様にRGBの数値で表すよりも直感的で圧倒的に分かりやすい!

これほんとに神機能だと思います。

ヒストグラムを見ながらの画像調整方法

ここからは実際の画像を使い、ヒストグラムを見ながら調整してみます。

この写真は2010年ごろ当時飼っていたセキセイインコをNikon D40(600万画素)で撮影した写真のRAW画像で、先ほどから見ていただいていたのはこの写真のヒストグラムになります。

それでは改めてこの写真のヒストグラムを見てみてください。山がかなり左の方に偏り右端には隙間がある事から、その部分にはピクセルが無い事が分かりますね?

それは具体的にはどんな画像か?もちろん露光不足のアンダーな画像です。

それではこの画像をヒストグラムを見ながら調整して行きます。

ヒストグラムを見ながら適正露出に調整

何を持って適正露出かなんて言い出すとキリがないので、ここでは白飛び、黒つぶれが無くシャドーからハイライトまでピクセルの広がった画像と定義します。

露光補正量を使って明るくする

露光補正量(Lrでは露光量)のスライダーを右側に動かして画像を明るくします。この時ヒストグラムを見ながら右側の隙間が埋まるまでスライダーを動かすのがポイントです。

ただ画像の明るさだけを見ながら補正すると、よく明るくし過ぎて白い部分を飛ばしてしまったりしますが、ヒストグラムを確認しながら作業すればそんな失敗は防げます。

本当に白飛びしていないか確認

それには画面上側にあるハイライト・クリッピング領域ツールをONにして確認します。この画像では白いインコの背中側がグレーのグラデーションで覆われました。これはこの部分がかなり明るい事を表していますが、完全に真っ黒の部分以外はまだ諧調が残っているのでこの場合はこの調整具合でOKです。

ちなみに専門用語では飛んだり潰れたりする事をクリッピングと言うので覚えておきましょう。もちろん黒潰れはシャドー・クリッピングです。

わざと白飛びさせてみる

ヒストグラムの隠れた使い方を見るために露光補正量を使って画像をさらに明るくすると、当然ヒストグラムの山は右側に動きある時点で右側の壁に張り付きます。これがクリッピングした状態です。

その状態のヒストグラムをよく見ると右上に小さなRGBの四角があるのが確認できます。これはRGB全ての色がクリッピングしているのを表しているので、これが出たら要注意です。もちろん意図があってクリッピングさせている場合を除きます。

露光補正量を下げてクリッピングを解消させる

少しずつ露光補正量を下げるとある時点でRとGのクリッピングが解消されましたが、まだBはクリッピングしているのでもう少し下げます。

露光補正量を+0.9まで下げると全てのクリッピングが解消され適正露出になりました。

シャドーを明るく調整してみる

せっかくですからもう少しだけ画像を調整してみましょう。今回はインコの下側に出来た影の部分を明るくしてみたいと思います。

ナビゲータの数値で明るさを確認する

最初の方でマウスポインターの位置のRGB値がヒストグラムで確認出来ると書きましたが、それだけではなくヒストグラムの下にあるナビゲータを見れば数値でも確認する事ができます。

この数値、フォトショップでは0〜255の8bitの値で表されていましたが、RawTherapeeでは0〜100%で表されています。

例えばRGB全て128のグレーは、RawTherapeeではRGB全てが50%になります。

この画像ではそれが約30%になっています。

シャドー/ハイライトツールで明るくする

シャドー/ハイライトツールを使ってシャドーを明るく調整します。この時にツールタイトル左側のボタンをONにする事を忘れないで下さい。ONにしないといくら調整しても反映されません。

補正前/補正後ツールでビフォーアフターを確認する

画像のようにシャドー/ハイライトツールのシャドーを明るくスライダーを今回は分かりやすいように85まで上げたところ、インコの下の影部分の明るさが最初の約30%から約42%に上昇しました。もちろん本来の調整はもっと微調整にとどめます。

完成画像

beforeafter

完成画像はシャドーを明るくスライダーを35程度まで下げています。解説画像は流石に明るすぎるので。またノイズ低減もかけています。その他のパラメータは未調整です。

まとめ

今回はヒストグラムを見ながらする画像調整の基本について解説しましたがいかがだったでしょうか?

この記事ではRawTherapeeのヒストグラムにフォーカスしましたが、もちろんどの画像処理ソフトでも基本的な使い方は同じなので他のソフトのユーザも十分に参考になると思います。

次回は今の所このRawTherapeeを使いこなす上で一番肝になるトーンカーブの基本的な使い方について解説しようと思ってます。もしかすると変わるかもしれませんが(笑)

それではまた、次回も読んでくれたら嬉しいです(^ ^)

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