この記事を読むような人ならLightroomなどのアプリケーションで写真を開き、トーンカーブのラインを動かして画像を明るくしたり暗くしたりして自分好みに調整した事があると思う。
このようにトーンカーブは詳しい知識がなくても感覚だけで画像調整する事も可能ですから、殊更に難しく考える事はないのですが、やはり感覚だけで操作しているといつか迷いが生じて画像調整に悩む日が来てしまう可能性が高いと思います。
そんな時、もう少しだけ自分に知識を入れると感覚だけで動かしていた今までよりもっと簡単に画像を調整できるようになります。
あなたがそんな未来を手に入れられるように、今回はトーンカーブの基礎をなるべく簡単に解説したいと思います。
トーンカーブの基礎
トーンカーブの真ん中をつかんで上に持ち上げると画像が明るくなり、逆に下に下げると画像が暗くなりますよね?
そんな事はこの記事を読むような方は先刻承知だと思います。では何故そうなるのか、その理由を考えた事はありますか?
「そんなの考えた事なーい」そんなあなたも安心して下さい。理由は簡単です。
トーンカーブでは画像の明るさをグラフ化し、縦軸と横軸を0から255の256段階で表し(それを256階調と言います)左下の点が一番暗い0、右上の点が一番明るい255になっています。
それでは先ほどつかんだラインの真ん中は?
そう、ど真ん中を掴めばそこは256の真ん中の128になり、もちろんつかんだだけの時点では点が動いてないので縦軸も横軸も128のままです。
さあ、そこをグーっと真上に上げてみましょう。
すると128だった部分が例えば25上げると153になります。
という事は今まで128の明るさだった部分が153の明るさになり、それだけでなくその点を中心にラインが弓形になる事で全てのピクセルの数値が大きくなり、その結果画像が明るくなるのです。
では下げると?もう分かりますね。
これがトーンカーブの基本的な考え方です。
入力値と出力値
先ほどトーンカーブの真ん中をつかんで上に持ち上げて明るさを153にしましたが、これをもうちょっと簡単に解説してみましょう。 トーンカーブの横軸と縦軸に入るのはどんな数値か?
それは横軸が入力値、縦軸が出力値になります。
これを踏まえて先ほどの例を見ると、入力値128の点を153まで上げて出力した事になるので、その結果として画像が明るくなったのです。
このようにいくつの入力値をいくつの出力値に変化させたのかを考えながら画像処理していくと、現在画像に何が起こっているかが良く分かるようになり、結果迷いが少なくなって行くでしょう。
入力値 | 横軸に相当し画像中のどの輝度のピクセルを変化させるかを決定します |
出力値 | 縦軸に相当し入力値で決めた輝度のピクセルがこの値に変化する |
黒点と白色点
トーンカーブのある一点をつかんで上下に動かすと、そのつかんだ入力値を中心に画像の明るさが変わる事は理解出来たと思いますが、この時動かない点が二箇所ある事にも気付いたかも知れません。
そう左下と右上の点が動いていませんね。
この左下の点は入力値、出力値共に0で『黒点』右上の共に255の点を『白色点』と言い、この二点は画像の一番暗い部分と明るい部分に相当します。
ただしこの二つの点ももちろん動かす事が出来るので、画像の一番暗い部分を少し明るくしたり(真っ黒の部分が暗いグレーになる)明るい部分を暗くしたり(真っ白が明るいグレーになる)する事が可能です。
白色点 | 画像の一番明るい点 |
黒点 | 画像の一番暗い点 |
トーンを立てる/トーンを寝かす
トーンカーブの解説で一番よく出てくるカーブの例はS字カーブですよね。
このS字カーブはみなさんご存知のようにハイライト側を持ち上げ、シャドー側を下げる事によってコントラストを上げるカーブで、その時のカーブの見た目がS字の形になる事からそう呼ばれています。
それではなぜS字カーブを使うとコントラストが上がるのか?
それはハイライトを持ち上げシャドーを下げることによって二つの点の間の明るい部分と暗い部分の差が大きくなり、そのためにコントラストが上がるのです。
そう、コントラストを上げるためには、上げたい部分の輝度差を大きくすればいいんです。
それでは改めてトーンカーブをS字カーブ状態にし、そのラインを見てみて下さい。点と点の間の角度が通常時の45度よりも立っていると思います。
逆に言えば画像にコントラストをつけたい場合はトーンカーブのラインの傾斜がキツくなるように調整すれば良いのです。
この操作の事を『トーンを立てる』といいます。
それではコントラストを穏やかにするには?もう分かりますね。
ラインの傾斜を立てればコントラストが上がるという事は、ラインを寝かせればコントラストが下がる筈。
だからトーンカーブでS字の逆になる、言わば逆S字を描くカーブを作ればいいんです。
これを『トーンを寝かす』と言うのです。
実際の使い方は動画で見て下さい
ここから画像を使って実際の使い方を解説!と言いたいところなのですが、実際の使い方は写真や文字で解説するよりも動画の方が分かりやすいと思うので、私が作ったYouTube動画をご覧下さい。
それではまた。
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