前回の記事「CCDで発色豊かなPENTAX *ist DLは今でも十分楽しめます!」で*ist DLのRAWファイルはペンタックス純正のRaw現像ソフト「Digital Camera Utility 5」(以下DCU5)で最新のカスタムイメージを掛けて現像出来ると書きましたが、それを受けて今回は実際に各種カスタムイメージを掛けた*ist DLの写真をお見せしようと思います。
PENTAXの中古一眼レフを狙っている方はもちろん、現行機種の購入を検討している方も画像の傾向や色味などが参考になるはずなので、そんな方もぜひご覧ください。
それでは早速行ってみましょう!
紫陽花をLightroomのAdobeスタンダードと比較
基準が無いと違いが分かりにくいので、私が色の基準にしているPhotoshop Camera Raw(Lightroom)のAdobeスタンダードで現像した画像と各種カスタムイメージで現像した画像をスライダーで比較できる様にしました。
画像は全てカスタムイメージ以外はデフォルト設定で現像しています。また、撮影はAdobe RGBで行いましたが、現像時にsRGBに変更しています。
撮影データ
カメラ: PENTAX *ist DL
レンズ: Super Takumar 35mm F3.5
F-Stop: F5.6
レンズ焦点距離: 35 mm(35mm判換算53.5mm相当)
シャッタースピード: 1/250 s
露出時間: 1/250 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 200
ご覧のようにオールドレンズのSuper Takumar 35mm F3.5を使って撮影しているので、その写りも合わせてお楽しみ下さい。
また各カスタムイメージの解説は、リコーイメージングの公式サイトの文章を参考にしています。
鮮やか
輝度の低い青による濃厚な青空や、活き活きとした緑など、自然風景に万能なカスタムイメージです。
こうやって比べるとAdobeとPENTAXでは紫陽花のブルーの発色が全く違いますね。他のカスタムイメージでも基本的に同じですが、PENTAXの紫陽花の色は紫系にシフトしているように感じます。
ナチュラル
PENTAXらしい鮮やかな色の再現性を備えながらも、色相ごとの輝度・彩度のバランスが良く、あらゆる被写体に向いた画作りのカスタムイメージです。
鮮やかに比べるとコントラストがやや抑え目で、優しい感じの雰囲気になりますね。
人物
人物向けの設定として搭載されているカスタムイメージで、マゼンタの色相が強調されるため、健康的な肌の色合いを得ることが出来ます。
適度な色乗りと透明感を感じさせる色調で、人物という名前に惑わされず、スナップなどにも積極的に使いたいカスタムイメージだと感じます。
風景
同じく風景向けのカスタムイメージである「鮮やか」をベースとし、青と緑をより鮮やかに表現。また、紅葉を引き立たせる黄色が特徴的なカスタムイメージです。
これぞPENTAX!そんなふうに感じる色鮮やかなカスタムイメージです。でも不思議と下品にならないんですよね。
雅(MIYABI)
赤・緑・青の3原色が印象的な仕上がりとなり、日本の四季折々の風景を瑞々しく表現することが出来るカスタムイメージです。
今回の紫陽花の写真にはこれが一番合っていると感じます。もう10年くらい前だと思いますが、この雅が発表された時からずっと使ってみたかったんですよね。
ポップチューン
「鮮やか」「風景」「雅(MIYABI)」などの色彩豊かな仕上がりと比べても、一線を画すような鮮やかさを表現できるカスタムイメージです。
この紫陽花には流石に鮮やかすぎるかな(笑)
ほのか
ハイキーかつローコントラストで、彩度を抑えたカスタムイメージ。カスタムイメージ詳細設定の“キー”は、この「ほのか」の調子を再現するために追加されたパラメーターです。
このほのかは使い所が難しいけれど、例えば朝霧に煙る湖などを更に幻想的に表現するなどハマればすごい効果を発揮するカスタムイメージだと思います。
フラット
レタッチを想定したカスタムイメージです。初期設定ではコントラストが-4に設定されており、メリハリを抑えた設定となっています。
このフラットは解説通りレタッチ前提のカスタムイメージなのでデフォルトのまま使う事は無いと思う。この写真を見てもやはりレタッチのベースって感じですね。
銀残し(グリーン)
映画フィルムの現像手法である「銀残し」のような、ローキーかつハイコントラストや渋みのある色彩表現が特徴のカスタムイメージです。画像の色調グリーンの他に色を乗せないニュートラルな色調、またイエローやブルーを乗せたりと色々なパターンの銀残し表現を楽しめます。
これは…渋さの極地ですね。この写真の場合シャドーがちょっと落ちすぎだと思うけど、少し調整すれば更によくなりそうです。
リバーサルフィルム
「リバーサルフィルム」のような黒の締まりと濃厚な色彩を表現するためにチューニングされているカスタムイメージ。実際のリバーサルフィルムの現像をイメージし、あえて明るさやコントラスト、彩度など、調整する機能をなくしています。
これも凄くいいです!鮮やかな色調が好きな方は雅よりもリバーサルフィルムの方が好みかも知れませんね。
モノトーン
白黒やセピアなど、「モノトーン」で階調豊かな表現を行うカスタムイメージです。コントラストの調整だけではなく、調色設定によって純黒調から、温黒調(ウォームトーン)、冷黒調(クールトーン)など、細かな印象変更も可能です。
この写真はデフォルトで現像しましたが、やはりモノクロはトーンをもっと自分好みに追い込みたいですね。そうすればもっと良くなると思います。
クロスプロセス(1)
フィルムの現像手法のひとつである「クロスプロセス」のように、独特の色やコントラスト表現を行うカスタムイメージです。ブルー系の他にイエロー系、レッド系のプリセットが搭載されています。
これも使い所が難しいカスタムイメージですが、今回の紫陽花にはドンピシャって感じでかなり良いと思います。
カスタムイメージを使った作例集
撮影レンズは紫陽花の写真でも使った「Super Takumar 35mm F3.5」の他に「smc PENTAX-F 35-80mm F4-5.6」を使用しました。
写真は全てクリックで拡大します。
鮮やか
ナチュラル
人物
風景
雅(MIYABI)
ポップチューン
ほのか
フラット
銀残し(ニュートラル)
リバーサルフィルム
モノトーン
クロスプロセス(グリーン)
まとめ
この記事をまとめていて思ったのが、この時代のカメラも十分に使えるじゃん!って事です。
もちろん私が今メインで使っているFUJIFILM X-E4で撮影した写真と比べると色々な面で劣っているけれど、だからと言って現代のレベルでは全然使えない画質かと言えば全くそんなことは無い。
600万画素あれば、SNSはもちろん印刷する場合でもA4なら全く問題ないし、トリミングしたいなどどうしても画素数が必要ならばPhotoshopやLightroomに最近搭載された「スーパー解像度」機能を使えば、軽く検証したところほとんど画質を落とす事なく画素数を4倍(600万画素なら2400万画素相当)まで解像度を上げる事が出来たのでそれを使えば良い。
そう考えると10年以上前のデジタル一眼レフを格安で買って楽しむのも全然アリだと思います。ちなみに私が購入したPENTAX *ist DLは2200円でしたし、smc PENTAX-F 35-80mm F4-5.6は330円でした。(本当はZ-70Pというボディ込みで330円だったけど、ボディはすぐに壊れた)
それではまた。
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